スパーズに勝って決勝に進出
2018年で印象に残る逆転劇が再び見られた。
ジョゼ・モウリーニョ監督のチームは、どのチームが相手でも屈指ない。今年2月にはチェルシー戦でもビハインドの状況から逆転勝利を収めた。クリスタル・パレス戦でも諦めずに勝ち点3を獲得し、その後オールド・トラッフォードでリヴァプールを下すと、マンチェスター・シティーとのダービーでは2点を追う形に追い込まれたものの、ユナイテッドの闘志を挫くまでには至らなかった。
そしてウェンブリーでは、同スタジアムを一時的にホームグラウンドとして使用しているトッテナムにデレ・アリの得点で先制されるも、アレクシス・サンチェスとアンデル・エレーラのゴールで逆転し、勝利を収めた。
そしてウェンブリーでは、同スタジアムを一時的にホームグラウンドとして使用しているトッテナムにデレ・アリの得点で先制されるも、アレクシス・サンチェスとアンデル・エレーラのゴールで逆転し、勝利を収めた。
モウリーニョ監督は、今年1月に2-0で敗れたスパーズとのプレミアリーグ戦で起用した先発中10選手を今回の大一番に使った。試合開始早々スパーズにコーナーキックを2本取られ、開始直後に先制された同試合を思い返した選手もいたかもしれない。
まだ寒い時期の一戦では、試合序盤、しかも開始11秒にクリスティアン・エリクセンにゴールを決められた。今回はロメル・ルカクが9分に力強いヘディングシュートを放つも、バーを越す場面が見られた。この瞬間、テクニカルエリアにいたモウリーニョ監督は表情を強張らせた。ルカクならば、もっと良いプレーができたのではないかという表れだった。
好機を生かせなかったユナイテッドに対し、スパーズは10分に均衡を破る。エリクセンがユナイテッドの左サイドを突破してファーサイドにクロス。これをアリが蹴り込み、スパーズが先制する。
ゴールのにおいを逃さないスパーズは、17分までにさらに2回決定機を生み出す。ソン・フンミンのクロスにアリが再び飛び出すも合わず。そしてエリクセンもゴール前に顔を出した。
現在ウェンブリーはスパーズのホームなのかもしれないが、この日は客席の半分が赤いサポーターで埋め尽くされていた。彼らの後押しが、ユナイテッドに挽回のチャンスを与えたと言える。
モウリーニョ監督は、試合前の時点でウェンブリーと相性が良いという理由だけでアレクシスを先発に起用しないと明言していた。だが、監督が彼をラインナップに加えた判断は正しかった。
アーセナルとチリ代表での試合を含め、これまでウェンブリーで7ゴールを決めていたアレクシスが、8ゴール目をマーク。ガナーズ時代にFAカップでレディング、シティーを相手に点を決めたアレクシスは、トッテナムを犠牲者リストに加えることに。
タッチライン付近でムサ・デンベレからボールを奪ったポール・ポグバが、ファーサイドにクロス。アレクシスは決して背の高い選手ではないが、見事にヘディングシュートをGKミシェル・フォルム越しに決めた。
これまで地元のライバルチームに所属したアレクシスに対しスパーズファンはブーイングを浴びせていただけに、最高の瞬間になったことだろう。ユナイテッドは、序盤から流れるようなプレーを見せたトッテナムを破壊し始めた。そして、スパーズは徐々に崩れ始めるのだった。
両チームにとって今季唯一獲得できるタイトルはFAカップのみで、戦前から激しい試合になるとは予想されていた。その予想通り、互いに攻撃を繰り返す試合に発展。前半終了間際には、エリック・ダイアーのロングシュートがポストを直撃するシーンも見られた。
ロンドンの解説者たちからタイトルを獲得するには勝負を決める力に欠けていると批判されているスパーズの“アキレス腱”を、この日はユナイテッドが攻め、アリの先制点をかき消すような前半にして、試合を振り出しに戻して前半を折り返した。
アレクシスは幸運にも2点にも絡んだ。ルカクを経由してボールを受けたジェシー・リンガードの落としに飛び込んだエレーラが強烈な一撃を突き刺し、逆転。
その後スパーズのタックルを受け続けたユナイテッドだったが、サポーターの声援によるまるでオールド・トラッフォードのような雰囲気に変わり、激闘を制した。
ユナイテッドは、5月19日の決勝に臨む。
ラインナップ
ユナイテッド:デ・ヘア、バレンシア(キャプテン/80分にダルミアンと交代)、ジョーンズ、スモーリング、ヤング、マティッチ、エレーラ、ポグバ、リンガード(82分にラッシュフォードと交代)、ルカク、アレクシス(95分にフェライニと交代)
出場機会のなかったサブ:ペレイラ、リンデロフ、マタ、マルシャル
イエローカード:ヤング、エレーラ、ラッシュフォード、バレンシア
トッテナム:フォルム、トリッピア、サンチェス、フェルトンゲン、デイヴィス(68分にモウラと交代)、ダイアー、デンベレ(78分にワニアマと交代)、エリクセン、アリ、ソン、ケイン(キャプテン)
出場機会のなかったサブ:ロリス、オーリエ、アルデルヴァイレルト、シソコ、ラメラ
イエローカード:ダイアー、アリ、ソン
注目ポイント
スモーリングにとってイングランド代表へのアピールに
最近はシティー戦、ボーンマス戦のゴールが話題になったスモーリングだが、この日はハリー・ケインをシャットアウト。ウェンブリーで���戦していたイングランド代表のガレス・サウスゲート監督は、先日スモーリングを代表に招集しなかった。同選手のワールドカップ出場が危ぶまれる可能性もあるが、今日のパフォーマンスはタイムリーなアピールになったはずだ。
決勝でもアレクシスの先発はほぼ確実
モウリーニョ監督は先発出場が確実な選手を明かさない。しかし、ウェンブリーで8ゴールも決めている以上、軽視はできない。ケガさえなければ、アレクシスは再びFAカップ決勝の舞台を経験するだろう。
ユナイテッドの次戦は?
4月29日(日)にオールド・トラッフォードでアーセナルと対戦する。次節は、退任を発表したアーセン・ヴェンゲル監督にとって、オールド・トラッフォードでの最後の一戦だ。同監督は、アーセナルの監督を22年も務めた。