ショー

数々の苦難を乗り越えて

2月にリヴァプールと0-0で引き分けた試合を振り返り、ロメル・ルカクは、いかにルーク・ショーのパフォーマンスが、タイトル争いを演じるリヴァプールとの互角の対戦に寄与したか語った。

「ルークは僕にとって、今シーズンのベストプレーヤーだ」と語ったベルギー人FW。「彼は開幕直後から素晴らしいパフォーマンスを発揮している。怪我にも苦しんだけれど、いまはコンスタントにプレーできていることを僕もうれしく思うよ。彼はもう将来有望株なんかじゃない。あの年ですでにトッププレーヤーで、しかも安定している。これ以上彼から何を望むっていうんだい?」

オーレ・グンナー・スールシャール監督も同調する。「どうしてもゴールが欲しい展開なのにモハメッド・サラを下げたとしたら、それはすなわち、ルーク・ショーが良いパフォーマンスをしていた証だ」

貴重な勝ち点1をものにしたショーのそんなパフォーマンスは、すべて彼自身のたゆまぬ努力の賜物だ。今シーズン、彼より多くの試合をこなしているのは、GKダビド・デ・ヘアとポール・ポグバしかいない。今やユナイテッドの左サイドバックのポジションは、彼が独占しているとさえ言える。

ルーク・ショー 言う

僕は自分にはまだできることがあると信じている。だけどその上で、自分がフォーカスするのは自分自身についてだけだ。コンディションをキープして、自分が実現したい姿を目指して毎日限界までプッシュすることだ。

3月に行われたFAカップのウルヴズ戦で、ルークはユナイテッドでの出場100試合めを迎えた。スールシャールが昨年12月に着任する以前から、ルークは左サイドバックのファーストチョイスではあったが、ショーは、ノルウェー人監督の着任が、ここ最近の彼の好調さに大きく影響していると話す。

「何が変わったか、それをピンポイントで指摘するのは難しいな。実際、それほど大きな変化があったわけではないからね。たぶん自信の問題、それから、自分が楽しめているかどうか、ということだと思う。それは監督のおかげによるところが大きい。それから、彼がどう僕に接してくれるかということだ」

「着任してから、監督は本当に僕のことを助けてくれている。僕だけじゃなく、他の選手たちのこともね。僕たちはみんな、この仕事に就いていることに幸せを感じているけれど、毎日のこととなると、他の職業と同じように、楽しむ工夫が必要になってくる。そして自分が楽しめれば楽しめるほど、良い結果も出せるんだ」

「今クラブはポジティブな空気に満ちていて、それがピッチの上だけでなく、外にも表れている。クラブを取り巻く環境は前よりずっとよくなった。だから僕はこの調子で続けていきたい。集中して、フットボールを楽しみたい」


楽しむことが、今シーズンのショーのキーワードだ。マンチェスターに来てから最初の4年間には、数々の厳しい状況と対面しなくてはならなかった。

16歳で初めてサウサンプトンのピッチに立ったショーは、そこで66試合に出場し、18歳になる前にPFAチーム・オブ・ザ・イヤーに選出された。彼のキャリアは、倍速で進んでいるかのように思われた。

ユナイテッドへの移籍は2014年の6月に実現した。両クラブ間の話し合いによるものだったが、サウサンプトンは彼を引き止めたい意向だった。その頃ショーは最年少プレーヤーとしてW杯ブラジル大会に出場していた。

ところが、移籍してわずか2ヶ月後にハムストリングを痛めてしまう。ショーにとって厳しい時期となったが、それでもその年のゴールデン・ボーイ賞(欧州の最優秀U21プレーヤーに贈られる賞)の候補に挙がった。

翌シーズンは良いスタートを切ったが、足を骨折し、残りの2015-16シーズンを療養することになってしまう。彼が次にピッチに立てたのは、およそ1年後の、翌シーズンのコミュニティー・シールドだった(ユナイテッドはレスターに勝利)。ところが、2016-17シーズンもまた、大腿部と足の怪我により、重要な時期に欠場を余儀なくされた。前監督ジョゼ・モウリーニョの指揮下にあったその2シーズン、ショーはそれぞれ19試合しか出場できていない。当初の4年の契約が満了に近づくと、ショーは1年間の延長を得た。そうしてショーは、今年こそ、という思いで、2018-19シーズンを迎えたのだった。

「夏の間もルークとは連絡を取り合っていた。彼がニューヨークにいた時、トレッドミルで走っている様子を送ってくれたんだ。僕はその時ワールドカップでロシアにいたんだが、そのビデオを見て、彼が次のシーズン、パワーアップして戻って来ることが確信できた。そして開幕戦のレスター戦で彼はゴールを決めた。その後は二度と後ろを振り返ることなく前進し続けている。

彼は前からずっと、世界最高のレフトバックになるだろうと感じさせるものを持っていた。僕がまだエヴァートンにいて、サウサンプトンにいた彼と対戦した頃からずっとね」。


レスター戦ゴールシーン動画

好調なシーズンのスタートを切ったショーに、さらなる朗報が舞い込んだ。10月、長期の契約延長をオファーされたのだ。当時の監督モウリーニョは、夏がショーのユナイテッドでのキャリアの分岐点だったと話した。

「彼はメンバーに選ばれなかった。トレーニングを続ける彼を私は非難したが、その時彼はこう言った。『いまはあなたが使いたい選手ではないかもしれないが、僕はあなたのために、マンチェスター・ユナイテッドのためにプレーしたいんです』。そしてこの言葉を彼は言い続けた。他の誰かが私に言うのではなく、彼自身に、自ら私に言う強さがあるという確証だった。だから私は彼の言葉を信じた」。

「良いサインは随所で見えていた。昨シーズンが終わったとき、彼は『僕と一緒に休暇に来てくれるフィットネスコーチをつけてほしい』と言ってきた。私は、『これはすごく良い兆候だぞ!』と思った。彼は自分の目標にしっかりとフォーカスしていた。そして、自分が勝ち取りたかったものを、自らの手で手に入れたのだ」

ロメル・ルカク 言う

ルークは僕にとって今シーズンのベストプレーヤーだ。彼はもう将来有望株なんかじゃない。あの年ですでにトッププレーヤーで、しかも安定している。これ以上彼から何を望むっていうんだい?

度重なる怪我を乗り越えたことは、世間の非難にもポジティブに対処する術を身につけさせた。そしてユナイテッドで成功したい、という思いは一層クリアになった。と同時に仲間への思いも強まった。チームメイトがゴールした時にセレブレーションに加わるショーの様子からはその気持ちが溢れている。そして彼自身も、今シーズンの開幕戦でゴールを決めて、歓喜の瞬間を味わった。

その開幕戦から、ショーのパフォーマンスには明らかな進化が見られた。さまざまなタイプのディフェンダーを絡め取るだけでなく、リスクを取ることを覚え、まだスールシャール監督率いるチームでの、責任感をも担うようになった。

パリ・サンジェルマン戦では、あの局面でPKを決めたマーカス・ラッシュフォードの冷静さが評価されたが、あのスポットキックを得るきっかけを作ったのはショーだった。ダニ・アウベスからボールを奪いとると、タヒス・チョンにパスを送り、それがVAR判定で相手のファウルとなったディオゴ・ダロトのシュートにつながったのだ。


その結果ユナイテッドは、チャンピオンズリーグ史上、例のなかった快挙を実現するに至った。そして今ショーは、より高いところ見据えている。

「トライし続けて、自分がここにいる理由を証明すること。そしてそれを楽しむこと。強い相手と対戦して、自分の限界を試す。自分のキャリアで僕は、それをずっと続けていきたい」

「僕はまだ若い方だから、まだまだ成長の余地はある。だからこれからも常に上を目指したい。まだ到達できるレベルがあると思っている。これがベストだとは思っていない。まだまだ自分にできることはあると信じること。それが僕なんだ」

「だけどその上で、自分がフォーカスするのは自分自身についてだけだ。コンディションをキープして、自分が実現したい姿を目指して毎日限界までプッシュする。具体的にいくつか、自分の頭の中でこれができる、もっとこれをやる必要がある、と考えていることがある。でもそれは僕自身のことで、自分がやるべきことだ。僕はただ一生懸命努力するだけ。そして、フットボールで一番大事なのは。楽しむ、ということだ」

彼が楽しんでいることは、18-19シーズンのパフォーマンスからも明らかだ。シーズンは大詰めを迎えている。今シーズンの各賞を選出する時期も近い。ショーがその、強力な候補であることはまず間違いない。

 

この特集記事は、オールド・トラッフォードで試合日に販売されているマッチデー・プログラムに掲載されたものです。