テン・ハフが尊敬する、ファーガソンの特性とは?
マンチェスター・ユナイテッドのエリック・テン・ハフ監督は、タイトルを獲得できるチームを繰り返し構築できるサー・アレックス・ファーガソンの能力こそが、彼の最も貴重な資質の一つであると考えている。
ユナイテッドはプレミアリーグ創設初年度の1992-93シーズンに優勝を果たしているが、このチーム作りに際し、サー・アレックスは慧眼を発揮した。シーズン途中にリーズ・ユナイテッドからエリック・カントナを獲得したのだ。彼はカントナが、ユナイテッドが輝かしい新時代へと向かうにあたり、格好の触媒になるだろうと考えたのだった。
その翌年、ユナイテッドは初の2冠を達成したが、1995-96シーズンに2度目のダブル優勝を果たしたのは、92年組の若さを注入しつつも、フランス人フォワードに率いられた進化系のチームだった。そして3冠を達成する頃には、デイヴィッド・ベッカムやライアン・ギグスといった若手が成長し、ヤープ・スタム、ドワイト・ヨーク、アンディ・コールといった名選手たちがチームをさらに強化した。
トロフィーへのあくなき追求は世紀が変わっても続き、チームは常に進化を続けた。まだ若かったウェイン・ルーニーとクリスティアーノ・ロナウドを戦力に加え、2007-08シーズンのチャンピオンズリーグとプレミアリーグの2冠達成も実現した。そしてアーセナルからロビン・ファン・ペルシーを迎えたことで、レッズは2012-13シーズン、ファーガソンにとって最後のタイトル獲得に成功。名将の勇退を飾ったのだった。
変化し続けるサッカー界の中で何度もチームを再構築するサー・アレックスの能力は、テン・ハフがもっとも感銘を受けていることのひとつだ。
先日、ウェンブリーでのカラバオカップ優勝を、テン・ハフはサー・アレックスとともに祝ったが、オランダ人指揮官は、このスコットランドの名将には賞賛すべき点が数多くあると語る。
「まず第一に、彼はいつ、どのタイミングで新しいチームを再建すべきかを的確に把握していた。そして彼は、20年以上にわたってそれを行い、そのたびに成功した」エリックはプレミアリーグの取材にそう答えた。「しかも彼は、生え抜きの選手とビッグスターとのバランスを絶妙にとりながらそれを実現した」。
「エリック・カントナやウェイン・ルーニーと一緒にやったときのように、彼はそこから最高のものを引き出した。こうした強い個性をもつ選手を掌握するのは並大抵のことではない。それが彼がもつ重要な資質のひとつでもあり、彼は常に個人よりもチームが優先されることを徹底していた」。
「勝てるチームを一度作るのだって相当難しいのに、彼はそれを26年の間に何度もやってのけたのだ!」
ファーガソンのプレミアリーグ殿堂入りに際し、テン・ハフは、サー・アレックスは、ユナイテッド在任中に、このクラブで受け継がれてゆくべきことの基調を作ったと実感している。
「日々それを感じ取ることができる。彼はレガシーを残し、マンチェスター・ユナイテッドはアレックス・ファーガソンなのだ」と語った現レッズ監督。「彼は最高のスタンダード、最高の価値観を設定し、勝つために必要な姿勢を植え付けた。マンチェスター・ユナイテッドでプレーしたい、マンチェスター・ユナイテッドで働きたいと思うのであれば、必ず直面しなければならない基準、それを彼はこの��ラブに確立したのだ」。