ユナイテッドのロシアでの戦績は?
W杯が盛り上がっているロシアの地で、ユナイテッドが過去に戦った7試合を振り返った。
トルペド・モスクワ戦(1992年9月19日、0-0、PK戦の末4-3で敗戦)
当時ロシアを拠点にしていた五大クラブのひとつであるトルペドを相手に、ユナイテッドは第1、2戦ともに無敗を保ったが、PK戦の末に敗れ、92-93シーズンのUEFAカップから敗退した。オールド・トラッフォードで行われた第1戦でギャリー・ネヴィルがシニアデビュー。トルペド・スタジアム(現在のエデュアルド・ストレルツォフ・スタジアム)での第2戦では、マーク・ヒューズが退場処分となり、PK戦ではスティーブ・ブルース、ブライン・マクレア、ギャリー・パリスターが揃って失敗。インディペンデント紙の報道によれば、この時代のトルペドの選手たちの週給は千円にも満たなかったという。
「僕のデビューといえば、トルペド・モスクワ戦でのスローインだ。足ではボールに触っていないんだ。なんだか僕のキャリアを象徴している気がするよ!」
ロートル・ヴォルゴグラード(1995年9月12日、0-0)
首都モスクワからおよそ1000kmの位置にあるヴォルゴグラードへの旅は、また特別だった。ロートルというクラブを知っていた者もほとんどいなかった。現地まで遠征したユナイテッド・サポーターは140人ほど。彼らによれば、その4年前にソビエト連邦が崩壊したばかりの当時、現地の人々は、W杯を開催している今とは比較できないほど、質素な暮らしをしていたという。
その試合が行われたセントラル・ステーションスタジアムは取り壊され、現在は同じ場所にヴォルゴグラード・アレーナが建っている。月曜の夜の試合で、イングランド代表がトルコを2-1で破った場所だ。
第1戦は0-0のドローに終わり、オールド・トラッフォードでの第2戦では、ユナイテッドがそれまで39年間継続していた、欧州カップ戦での無敗記録があやうく破られるところだった。25分を経過して2点ビハインドに追いやられたレッズだったが、ポール・スコールス、続いて、なんとペーター・シュマイケルがヘディングで得点し、なんとか記録をキープした。しかしアウェーゴールによりロートルが勝ち抜け、ユナイテッドはここで敗退した。
チェルシー(2008年5月21日、1-1、PK戦の末6-5で勝利)
対戦相手はロシア勢ではなく自国のライバルだが、舞台はチャンピオンズリーグ決勝戦という最高峰。ユナイテッドファンにとってロシアといって真っ先に思い浮かぶのがこの対戦だ。ユナイテッドの得点は、ポール・スコールスとウェス・ブラウンがセットアップした後、クリスティアーノ・ロナウドが仕留めた。そしてPK戦では、エドウィン・ファン・デル・サールがニコラス・アネルカのシュートを阻止。ルジニスキ・スタジアムには21000人のレッズファンが詰めかけ、雨のそぼふるモスクワでの、忘れられない夜となった。
CSKAモスクワ(2009年10月21日、1-0)
わずか数ヶ月後、ルジニスキ・スタジアムに戻って対戦したのは、ロシア勢でもっとも多く顔を合わせているCSKAモスクワ。アントニオ・バレンシアが終盤に決めたゴールでユナイテッドは勝利をものにした。
CSKAモスクワ(2015年10月21日、1-1)
CSKAとの再戦では、ルイス・ファン・ハール率いるユナイテッドはチャンピオンズリーグの洗礼を受けた。ダビド・デ・ヘアはペナルティを止めたが、跳ね返ったボール���セイドゥー・ドゥンビアが押し込んでCSKAが先制。ユナイテッドは後半、アントニー・マルシャルのダイビング・ヘッドで同点に追いつき、貴重な勝ち点1を手にした。CSKAの本拠地が工事中だったため、この試合はモスクワから30kmほど北西にあるアレーナ・ヒムキで行われた。
FCロストフ(2017年3月9日、1-1)
ロシアの南方にあるロストフ・オン・ドンまで遠征したファンはわずか238人。この年のヨーロッパリーグに優勝したユナイテッドだが、ラウンド16の第1戦では、ここ数年で例をみないほどの劣悪のグラウンド状況との戦いとなった。ヘンリク・ムヒタリアンのゴールで先制したが、後半戦に同点に返され、決着はオールド・トラッフォードでの第2戦に持ち越された。
CSKAモスクワ(2017年9月27日、4-1)
ヨーロッパリーグ優勝により、チャンピオンズリーグ復帰を果たしたレッズは、またもCSKAと対戦することになった。VEBアレーナは完成していたが、W杯に向けて新スタジアムがいくつも建設されていたロシアにおいて、首都クラブの本拠地は、開催地の候補にも挙がらなかった。しかしこの新スタジアムでの対戦は、ユナイテッドにとってこれまでのCSKA戦でもっとも良い結果を引きだした。ロメル・ルカク、アントニー・マルシャルらの得点で、ユナイテッドは4-1で勝利した。
W杯に出場しているユナイテッドの選手たちにとってこの結果は、ロシアでの対戦に自信を抱けるものであるに違いない。