ダレン

フレッチャーが語ったキーンの思い出

火曜から視聴できるUTDポドキャストの第3話では、ダレン・フレッチャーが、ロイ・キーンからの厳しい助言のおかげで成長できたと、当時の思い出を振り返っている。

ユナイテッドの公式ミュージックパートナー、Deezer、あるいはポドキャスト用のアプリからダウンロードできるUTDポドキャストで、“フレッチ”は、レッズの元キャプテンとの関係を尋ねられた。

その中で、キーンが彼のキャリアにとっていかにかけがえのない存在であったか、余すところなく語った。

ある試合後のチームミーティングで、全員でビデオを見返したあとで、キーンが君を名指しで批判したことがあったらしいね?

まず、新聞のヘッドラインを賑わせたことについては、その背景を知ってもらう必要がある。あの時ロイ・キーンは試合のビデオを見て、内容について分析していた。そして、たとえばある瞬間にディフェンダーの守りが甘いような場面があったら「ディフェンスが怠慢だった」という感じで発言していた。そうしたら、その部分だけが切り取られて、『キーンが選手を「怠け者」と非難』という見出しになっていた。だから、間違った認識がされているところは多々あったと思う。彼は、その試合の場面、場面について、感じたことを指摘していただけなんだ。そして僕自身については、たしかに十分とはいえないプレーがあった。彼の指摘はまったく正当だった。ロイ・キーンはキャプテンとして、僕に発破をかけた。そのことには僕も慣れていたし、ロイ・キーンが僕を気に入ってくれているのは感じていたから、それが彼なりの好意の示し方だというのもわかっていた。僕がもっとできるに違いないと信じてくれていたから、厳しいことも言ってくれていたんだ。彼も言っていたよ。「フレッチには少々厳しくあたっていた。でもそれは、僕が彼のことが好きで、彼からより多くのものを求めていたからだ」ってね。

だから、僕にとってはなんの問題もなかった。ただ、それについてサー・アレックス・ファーガソンが不快に感じていたというのも理解はできる。彼は、自分がベストだと思ったチームを送り出していたわけだから。「ロイ・キーンに嫌われている」、というのは、ずいぶん長い間、僕につきまとっていたことだった。でも僕はまったく逆に感じていた。キーンが僕をすごくかわいがってくれているのがわかっていたからね。だからこそ、彼はいつも100%で厳しくぶつかってくれたんだ。おかげで僕は、マンチェスター・ユナイテッドのプレイヤーになれた。それに、リーダーシップのある人間にも成長できたんだ。

それでも、ロイが君は大成しないと思っている、と信じているファンもいた。そのことに苛立ちを覚えたりは?

実はいまだにそうだったりする。ときどき、ロイ・キーンのことをどう思っているのか、と聞かれることがあるんだ。僕は彼のことが大好きだ!僕の父親、サー・アレックス・ファーガソン、そしてロイ・キーンは、僕の人生にもっとも大きな影響を与えてくれた人たちだ。そして僕をサポートしてくれた人たちでもある。ロイの素晴らしいところは、彼は10のことを言ってくるけれど、そのうちの1つは彼特有の、厳しいものだけれど、あとの9は、褒めてくれる、ということだ。でもそのことは誰も知らない。それか覚えていない。あまり面白いストーリーじゃないからね。でも僕の記憶にあるロイ・キーンはそういう人なんだ。彼は僕にとって素晴らしい人だった。試合のあと、彼と並んでピッチを出るときにはよくこう言ってくれたものさ。「すごく良かったぞ。おまえが横でプレーしてくれたら、俺もあと10年くらいやれそうだ」ってね。僕にとっては100万ドルの価値がある言葉だった。こうした言葉をロイからもらったおかげで、僕は自分に自信を持つことができた。そして、そのことの重みは、ときどき頂戴する厳しい言葉をはるかに超えるものだった。実際、僕のレベルはマンチェスター・ユナイテッドの一員たるにふさわしいものじゃなかった。だから言われて当然の指摘をされていただけだったんだ。


UTDポドキャストwithダレン・フレッチャー
言う

「ロイ・キーンが僕を気に入ってくれているのは感じていたから、それが彼なりの好意の示し方だというのもわかっていた。僕がもっとできるに違いないと信じてくれていたから、彼は厳しいことも言ってくれたんだ」

そもそもキーンは、批判の言葉をしっかりと受け止められる器のない相手に、そういった発言はしない男だしね。

それは間違いないね。僕がいつも感じていたのは、“ポスト・ロイ・キーン”とまではいかなくても、そういったメンタリティをもった選手を、彼は育てたいと思っていたんだろう、ということだ。まさにそれが、マンチェスター・ユナイテッドでプレーすることを意味していた。おかげで若造だった僕は、より早く大人へと育つことができた。僕らは勝つためにここにいる。彼はよく、「戦闘へ行くぞ」と言っていた。彼はそれを僕たちに気づかせたかったんだと思う。なんのために僕らはここにいるのかを、しっかりと意識させたかった。マンチェスター・ユナイテッドでプレーできるなんて夢心地だろう、と想像する人は多い。けれど、キーンにしてみれば、まったくそれとはかけ離れた世界だ。キーンが僕にそのことを気づかせようとしてくれたのは、賛辞の表れとさえ感じている。彼は僕がそれをしっかり受け止める器があると見込んでそうしてくれたわけだからね。そして実際僕は、けっこううまくやれていた。ときに厳しいことを言われて落ち込むこともあったけれど、次の日には、励まし、褒めてくれるんだ。そうしたらすぐに、落ちこんでいた気持ちなんて吹っ飛ぶのさ。

UTDポドキャストwithダレン・フレッチャー
言う

「ときどき、ロイ・キーンのことをどう思っているのか、と聞かれることがあるんだ。僕は彼のことが大好きだ!僕の父親、サー・アレックス・ファーガソン、そしてロイ・キーンは、僕の人生にもっとも大きな影響を与えてくれた人たちだ」

そのような偉大な先輩がクラブを去ることになった時には、相当ショックだったのでは?

そうだね。ものすごくショックだったし、みんなも同じだった。サー・アレックス・ファーガソンもだよ。彼という偉大なプレーヤーから、いかに僕たちがいろいろなことを学ばせてもらったことか!リーダーシップだけじゃない。選手としても素晴らしかった!ボールへのファーストタッチがあんなにすごい選手を見たことがない。それにパスのスキルもだ。彼は小器用にかっこいいフェイントをやったりするようなことには興味がなかった。けれど彼はいつでも、ピッチの上でもっとも影響力のある選手だった。彼自身のキャラクターで、ハートで、そして意志で、試合を動かしていた。それは、レンガの壁さえつき破るほど、強靭なものだった。スタミナも驚異的だった。いつも試合のテンポを察知して、ペースをコントロールしていた。僕は、それこをを才能、と呼ぶのだと思う。とかく派手なプレーをすると「彼は才能がある」と言われるものだけれど、それだけじゃなんの意味もない。ツイッターやYouTubeで12秒間のクリップを見る世の中になって、変わってしまったのかもしれないけれどね。90分通して試合を見る人は少なくなったから、試合全体を誰がコントロールし、己の個性と意志で支配しているのか、といったことを堪能することもなくなった。そしてユナイテッドでは、それができるのはロイ・キーンだけじゃなかった。チーム全員ができていた。だからこそ、僕たちはベストチームと言われたんだ。

ダレン・フレッチャーのインタビューは火曜日から配信開始。

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