マンチェスター・ユナイテッド 2-1 ワトフォード
オーレ・グンナー・スールシャールは、マンチェスター・ユナイテッド正式監督に就任後の初戦でチームを勝利に導いた。しかし、新時代の幕開けとしては、ハラハラさせられる試合となった。
ユナイテッドは、試合を通じて標準以下のレベルだった。それでも、前半にマーカス・ラッシュフォード、後半にはアントニー・マルシャルがゴールを決めて勝利。勢いに乗るワトフォードも、試合終盤にアブドゥライェ・ドゥクレに1点を返されヒヤリとさせられたが、リードを保持して勝利を掴んだ。試合終了後、観客の声援に拍手で応えたスールシャール監督だったが、その表情からは、簡単な試合ではなかったと考えていた様子が見て取れた。
木曜に正式監督就任が発表され、オールド・トラッフォードのストレトフォード・エンドでは巨大な『20LEGEND』バナーが広げられ、正式就任を喜んだ。
元ユナイテッドストライカーに敬意を表し、スタジアムはトリビュートソングで監督を歓迎。だが、ボスが会見でも語ったように、ここからが本番。インターナショナルブレーク前に喫した連敗から抜け出すことを目標にしていたユナイテッドだが、決して良い内容ではなかった。
巧妙なプレーの連続で試合序盤からペースを掴んだのはワトフォードだった。ユナイテッドは防戦一方となり、攻撃でもパスが繋がらない。
ワトフォードのプレッシャーの前に守備も簡単に崩れてしまい、相手に決定機を作られるも、ワトフォードのフィニッシュはビルドアップほど優れていなかったことに救われれた。
ワトフォードは、ドゥクレとトロイ・ディーニーを中心に攻撃を組み立て、ダビド・デ・ヘアに襲いかかるも、守護神が最後の砦となって失点を許さない。力強いディーニーにペナルティエリア内でシュートを打たれても、デ・ヘアがボールを弾き返した。
ユナイテッドのチャンスは限られたが、それでも先にゴールをこじ開けたのは、ホームの我々だった。
28分、ルーク・ショーがラッシュフォードに絶妙なタイミングでパスを通すと、ストライカーは元ユナイテッドGKのベン・フォスターの位置を冷静に見極めてシュートを決め、ユナイテッドが試合を動かす。
その4分後、サイドからのクロスにマルシャルが反応し、力強いシュートを放ったが決められず。2-0になっていても不思議ではない場面だっただけに、残念だった。
先制することには成功したものの、ワトフォードの中盤には優れたMFのドゥクレがいただけに、決して安泰なリードではなかった。
後半は立ち上がりから前半よりも速いペースでのプレーが求められたが、展開は前半を変わらなかった。ラッシュフォードの得点によるダメージはワトフォードにはなく、前半と同様にリズムに乗った攻撃を続ける。ダリル・ヤンマートに51分にシュートを許し、その直後にはロベルト・ペレイラが自分で好機を作りシュートも、デ・ヘアのセーブで難を逃れる。
プレッシャーをかけ続けるワトフォードは、ウィル・ヒューズにもシュートが見られたが、ユナイテッドのエンジンはなかなか始動しない。
業を煮やしたスールシャール監督は、62分に選手交代を決断。フアン・マタとアンデル・エレーラに代えてジェシー・リンガードとアンドレアス・ペレイラを投入し、中盤にフレッシュさを加えた。
交代出場の選手がチャンスを作るまでに10分はかかったものの、それは追加点に直結するプレーだった。72分、オーバーラップしたリンガードがアンドレアスからのパスを受けると、ゴール前にクロス。突っ込んだマルシャルに対し、一度はフォスターに対応されたが、マルシャルは即立ち上がってシュートをねじ込み、待望の追加点が決まった。
前半と同様にワトフォードに攻められる展開だったのは変わらなかった。しかし、ユナイテッドは耐え抜き、2点目を奪ったと言える。マルシャルのゴールが決まった後も、スールシャール監督の表情に笑顔は見られなかった。もしかすると、決して良い状態ではないチームのプレーから、これで勝負はつかないことを察していたのかもしれない。
その予言通り、ワトフォードは決して諦めなかった。89分、勢いが衰えないワトフォードに守備が崩され、ドゥクレがシンプルなフィニッシュでデ・ヘアの牙城を崩すことに成功。
しかしながら、リードを守ったユナイテッドが勝利をマーク。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、スールシャール監督も大きく息を吐いて安堵したようだった。
ユナイテッド:デ・ヘア、ヤング(c)、ジョーンズ、スモーリング、ショー、エレーラ(62分にエレーラと交代)、マティッチ、ポグバ、マタ(62分にリンガードと交代)、ラッシュフォード、マルシャル(76分にロホと交代)
出場機会がなかったサブ:ロメロ、ダロト、フレッジ、ルカク
ゴール:ラッシュフォード(28分)、マルシャル(72分)
イエローカード:アンドレアス
ワトフォード:フォスター、ヤンマート(55分にフェメニアと交代)、ブリトス、カバセレ、マジーナ、カプエ、ヒューズ(82分にサクセスと交代)、ドゥクレ、ペレイラ、デウロフェウ(73分にグレイと交代)、ディーニー
出場機会がなかったサブ:ゴメス、キャスカート、キーナ、ホレバス
ゴール:ドゥクレ(89分)
イエローカード:ヒューズ、マジーナ
観衆:7万4543人