ヒートン

ヒートン「僕が復帰した理由」

金曜日 02 7月 2021 15:16

アストン・ヴィラとの契約が満了となったトム・ヒートンが、フリートランスファーでマンチェスター・ユナイテッドに復帰した。

イングランド代表で3キャップを数えるヒートンは、少年時代からの心のクラブであるユナイテッドへの復帰が彼にとってどれだけ大きなことか、そして今後の抱負についても語ってくれた。

トム、ここは君にとって馴染みの場所だ。古巣に帰ってきた気分かい?

そうだね、まさにそんな気分だ。ここでは少年時代から13年もの素晴らしい時を過ごした。だからものすごくハッピーだよ。早く始動したくてうずうずしている。

2010年にここを離れた時は、契約延長の選択肢もあった。けれどファーストチームで研鑽したいという理由で移籍を決めた。当時を振り返って、いまのこの成長を見ても、あの勇気ある決断は正しかったと思えるのでは?

そうだね。それが正しい道だと感じた。あの時もそれが正しいことだとわかっていたけれど、実際には難しい選択だった。このクラブで長い時間を過ごしてきたし、このクラブへの思い入れも強かったからね。でも今振り返ってみても、あのときの決断は正しかった。そして、さらに色々な経験を積んで、自分のゴールキーピング能力により自信をつけて、こうしてここに戻ってこられたことでもそれは正当化された思いだ。


ヒートンがユナイテッドに復帰

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トムがフリートランスファーでユナイテッドに復帰

それでも、その決断をサー・アレックスに打ち明けるのは辛かったと以前話していたね。でも彼はその後、君の決断を尊重すると言っていた。サー・アレックスのサポートは貴重だったのでは?

本当に素晴らしいものだよ。僕は若い時からこのクラブにいたから、彼ともいい関係を築くことができていた。そして、いかにこのクラブが僕のために尽くしてくれたかもわかっていたから、彼がフラストレーションを覚えたとしても理解できる。でも受け入れてくれた。僕が「1、2週間以内にオフィスにあなたを訪ねます」、と言ったら、彼は、「私はいつでもここにいるから」と言って、実際にいてくれた。その後も何度か顔を合わせる機会があった。彼と会うときはいつでも背筋が伸びる感じがするんだ。なにより、クラブを去った後でも、彼から祝福してもらえるというのは、本当に光栄なことだよ。

君はユナイテッドのDNAを持っている。君のキャリアにそのことはどれくらい役立っている?

ここには家に帰ってきたような気分だ。ここで過ごした育成の日々は、他のなにものにも変えられないほど貴重なものだ。当時はフットボールの育成において、ここは世界No.1の場所だった。それだけでなく、ここは本当に選手たちを丁寧にケアしてくれる。みんながきちんとやれているかどうかを常に確認してくれるんだ。そして、マンチェスター・ユナイテッドのDNAで一番大きなパートを占めるのは、勝つ、ということ。それから、他にもいくつかの要素がある。頭角を表してきたユースの選手が、どのようなフットボールをしてきて、どのように自分自身で取り組んできたか。これらはすべて、マンチェスター・ユナイテッド流のやり方の一部だ。これまでの自分の人生においてマンチェスター・ユナイテッドは大きな役割を果たしてきたけれど、またここに戻ってきて再びその一部になれるというのは信じられない気持ちだよ。

在籍中はロイヤル・アントワープなど、いくつかのレンタル移籍も経験している。若いキーパーにとって、実戦経験を積むことの重要性は?そのことはその後のキャリアにどう役立っている?

毎週実戦経験ができるというのはかけがえのないことだ。教えられて身に付くものではなく、実際にやってみて初めて身に付くものだからね。技術的なことやフィジカル的なことは教えられて身につけることができるけれど、状況判断や、プレッシャーの中でどういう決断をする、といった試合でもっとも重要なことはやってみて初めてわかることだ。ここを去る頃には、すでに8、9回はレンタルで経験を積んで、それぞれの場所で違ったことを学べた。おかげでキャリアの次のステージにいく上で必要な基盤を築くことができた。ゴールキーパーにとってレンタルで実戦経験を積むことは本当に貴重だと感じるよ。


カーディフのあと、バーンリーでも貴重な経験をしているね。バーンリーにはレッズOBも何人かいて、縁の深いクラブだ。

ここでの移籍も、自分にとって正しい判断だったと感じている。僕の父はバーンリーの生まれなんだ。だからあの土地には家族のルーツもあった。あそこでは、ショーン・ダイクのもとで6年間本当に貴重な体験をさせてもらった。彼は本当に素晴らしい指導者だよ。彼とはいまでもいい関係を継続している。自分的に成功を実感できた時期だったし、安定して過ごせた時期でもあった。試合数もこなせたし、プレミアリーグに復帰できた。そのことは、このクラブを離れたときに自分自身の目標にしていたことだったしね。今振り返っても、いい思い出が蘇ってくるよ

ユナイテッドとも対戦しているよね。2016年のオールド・トラッフォードでの一戦は覚えている?

もちろん。あの試合については何度も聞かれているしね。試合に向けての準備という意味では、他のどの試合とも同じだったけれど、でもやっぱり自分の歴史がある場所だ。オールド・トラッフォードに足を踏み入れた瞬間、アドレナリンが湧き上がってくる感じがした。試合でやることはいつもと変わらなかったけれど、あの試合でのいくつかの自分のパフォーマンスはすごく気に入っているんだ。あの試合で強く思い出に残っていることだね。

2-2で引き分けた2019年のバーンリー戦でも傑出したパフォーマンスを見せた。オーレも試合後君のことを称賛していたけれど、励みになったのでは?

最高だったよ。彼がここで選手としてプレーしていた頃から、仲がよかったんだ。そのあと彼はリザーブチームの監督になって、そこでも一緒にやる機会を得た。そのときも彼は素晴らしい指導者だった。あの試合のあと、ピッチからの去り際に、彼から嬉しい言葉をかけてもらった。そして今度はその彼のチームでプレーできる。なんだか現実じゃないみたいだ!このワクワク感を言葉にするのは難しいよ。

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新加入選手のトム・ヒートンがインタビュー

オーレがリザーブチームの監督だった時代からすでに、将来マネジャーになる片鱗は見えていた?

そう思うよ。しかも彼の指導者としてのキャリアの最初の頃から、それを感じていた。とりわけ、彼の仕事への取り組み方や、チームの作り方、それからマンマネージメントのスキルの部分だね。ただ、選手時代からそうだった。彼はいつも若い選手たちにアドバイスをくれたんだけれど、それはいつも深く突き刺さるものだった。今でも忘れないのが、あるとき彼が僕を脇に呼んでこう言ったんだ。存在感を示したい若い選手にとって、夏の期間は休暇をとるためのものではなく、全力で臨む時なんだ、と。他の選手がゆるんでいたら、その時こそ自分はそのチャンスを得るんだ、と。それを聞いてからは、毎夏、1、2週間だけ休みを取ったらすぐにトレーニングを再開するようになった。たぶんあれは18歳か19歳くらいの時だったと思う。いまでもしっかり僕の中に根付いている。だからいま彼がここでなし得ていることを見ても、僕にとってはサプライズではないんだ。

今回の移籍が実現した経緯は?

ヴィラではとてもいい経験ができていた。素晴らしいクラブだ。でも20試合くらい出場したところで深刻な怪我を負ってしまった。復帰したときにはエミリオ・マルティネスが調子を上げていて、昨シーズンの終盤には、出場機会は限られるようになってしまった。でもそれはフットボールの世界ではあることだ。ちょうど契約も切れたから、いろいろなオプションを考えていた。そんなときに、僕の心のクラブが興味を示してくれていると聞いたんだ。考えるまでもなかったよ。

この移籍についてオーレはなんと?

一緒に始動するのを、そして新シーズンを楽しみにしていると言っていた。僕を歓迎するとも言ってくれた。僕も早くグラウンドに飛び出したい気持ちでいっぱいだ。いまはコンディションも抜群にいいんだ。早く他のゴールキーパーたちと一緒にやりたいよ。先発メンバー入りすることをしっかり照準においてやっていく。早くこの挑戦を始めたくてうずうずしている。


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クラブにはコーチングスタッフも含めて顔見知りが大勢いるのでは?

そうなんだ。当時のスタッフも何人か残っている。これは素晴らしいことだよね。クラブのことを知り尽くしてるスタッフが長年勤めているというのはこのクラブの良い点の表れでもある。一緒にプレーしたことがある選手も多い。自分はまだまだこれから発揮できるものがたくさんあると感じている。だからこれは僕にとって素晴らしいチャンスだ。

マンチェスター・ユナイテッドでの2度目のキャリアの抱負は?

このクラブを去った理由は、ファーストチームでプレーするためだった。その経験を積むためにクラブを出たんだ。そして今回、たくさんの経験を積んで戻ってきた。去ってから11年が経った。ずいぶん長い年月に感じるけど、その間さまざまなものを吸収することができた。いまの目標はメンバー入りすることだ。もちろん、すでにここには素晴らしいキーパーたちがいる。ダビド(デ・ヘア)やディーン(ヘンダーソン)、リー(グラント)、ネイサン(ビショップ)、それから優秀な若手キーパーも何人かいる。早くみんなと一緒に切磋琢磨したい。いまはまずそのことが一番楽しみだ。あとのことはそれからだね。

ふたたびユナイテッドのシャツに袖を通して自分の力を発揮する、ともかくそれに尽きる、という感じかな?

そのとおり。ここでやり残したことがある、という思いが自分の中にある。毎日ハードワークを積み重ねて、目標を、夢を形にしたい。

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