フレッジが語る、心の健康とSNSとの付き合い方
多くの人にとって、夏はリラックスして解放的になれる季節だ。しかしフットボール選手は例外で、レッズからも複数のメンバーが、国を代表して重要なトーナメントに参戦している。
コロナ禍で再開した『Project Restart』以来、ほぼ1年間、ノンストップでフットボールが続いてきた。プレーのレベルを通常の状態まで上げていくことは、選手たちにとってフィジカル的に相当ハードだったに違いない。メンタル的にも、パンデミックが1年以上も続く状況の中、多くが我々と同じように、落ち込んだ気持ちにもなったことだろう。
しかしサポーターは、ヒーローたちも我々と同じように苦しんでいるのだ、ということに共感できない場合が多い。彼らは世界を旅しながら、高額の報酬を得ているのではないか?世界中の何百万人もの少年少女が夢見ていることを実現できているのではないか?たしかに選手は恵まれた立場にいる。彼らはそれを理解しているし、大多数はそのことを決して忘れたりしないし、当然のことだなどとは思っていない。
同時に、現代のスポーツがどれほど過酷な環境であるかを、私たちが真に理解することは難しい。
マンチェスター・ユナイテッドのMFフレッジは、クラブと国を代表してステージに立つたびに、スポットライトが自分を照らしていることをよく理解している。ブラジル代表として自国開催のコパ・アメリカに先発出場しているいま現在は、なおさらそれを痛感していることだろう。
彼はプレッシャーは試合の一部であると理解している。そして会話の中では、エリートレベルでプレーする選手たちが、いかに精神面のケアをしているかにも触れている。しかしそれは人による、とも指摘する。
「世界最大級のチームの一員であるわけだ。マンチェスター・ユナイテッドだけじゃなく、ブラジル代表もね」先日の『マイ・ストーリー』シリーズの中でフレッジはそう話してくれた。
「僕は、世界で最大級のサッカー大国の一員として、ワールドカップに出場した」
「当然要求は高い。ファンや報道陣がいろいろと求めたくなることも理解できる」
「このような要求に対処するには、しっかりとした考えを持って、どう対処するのか、その方法を知っている必要がある。貶めようとする人たちもいるが、それに対処できる強い心が必要なんだ」
「僕はそうしたことは極力締め出して、フットボールや自分の心の健康、そして家族の安全に集中するようにしている。だからあまりキリキリすることはないんだ」
ときには批判も避けられない。それが明らかに、そして日常的に一線を越えていることもあるが、フレッジはそれについても理解している。
フレッジは、2019年のマンチェスター・ダービーで、人種差別的な攻撃を受けた。今年3月のFAカップ、対レスター戦でミスをした後も、ソーシャルメディア上で誹謗中傷の対象となった。
マーカス・ラッシュフォードやアクセル・トゥアンゼベら、何人かのチームメイトたちも不快なメッセージを受け取った。
最近では、ソーシャルメディアが話題の中心となり、TwitterやFacebookなどの大手企業に対して、他者を誹謗中傷した者の責任を追及するために、ポリシーを変更するよう圧力がかけられている。
しかしこのような対処法がとられる前は、フレッジは自分なりの手段を身につけ、オンラインの世界と自分の現実の生活を区別するよう試みてきた。
「現代社会は、ソーシャルメディアがすべてだ。人種差別、同性愛嫌悪、偏見など、誰もが誰かを罵倒することができる社会に僕たちは生きている」
「僕もそれを目にすることはあるけれど、自分の中には取り込まないようにしている」
「それを家庭に持ち込んだり、健康を害するようなことにならないようにしている。ともすれば自分を傷つけてしまうものだからね」
トゥアンゼベ:マイ・ストーリー
記事トゥアンゼベが少年時代に受けた貴重なアドバイスや新シーズンへの抱負を語った
これらのことは、見ないふりをして、カーペットの下に隠してしまえばいい、というものではないが、元インテルナシオナルとシャフタール・ドネツクで活躍したMFは、時々スイッチオフすることを学ぶことで、皆がより良い環境を見つけることができると考えている。
「僕が若い人たちにできるアドバイスは、ソーシャルメディアに費やす時間を減らしてみては、ということだ」
「僕は、家にいて息子と一緒にいるときは、できる限り電話だとか他のものとはつながらないようにしている。ニュースも極力見ないんだ。あまり自分にとって良いことだとは思わないから」
「電話はものすごく時間をとるものだ。電話やソーシャルメディアの代わりに、家族と一緒に過ごす時間をもつこと、そして何より、自分がハッピーでいることが一番だよ!」