エランガがアリの印象的な一枚を再現
マンチェスター・ユナイテッドの若手、アンソニー・エランガは、休暇中に充電しながら、スポーツ史に残る写真を見事に再現してみせた。
エランガは、昨シーズンからファーストチームのプレーヤーとして定着し、2022-23シーズンもエリック・テン・ハフ新監督の指導のもと、さらなる飛躍を目指している。
今月初め、スウェーデンのネーションズリーグ3試合に出場した後、エランガはキャリントンでのプレシーズントレーニングが始まる前に十分に夏休みを楽しんでいる。
プールでリラックスしている間、アンソニーは、1961年にボクシングの象徴であるモハメド・アリ(当時はカシアス・クレイ)が世界的に有名にした水中でのポーズを再現。
両者のポーズをチェック。
写真にまつわるエピソード
アリは、トレーナーから水中でのトレーニングを勧められたことを明かし、それに触発された写真家フィリップ・シュルケが、60年以上前にマイアミのプールで撮影した写真だ。水中でのトレーニングは、抵抗が重さのように作用するというのがその理由であった。
当時、クレイは1960年のオリンピックで金メダルを取ったばかりで、プロボクサーとして8勝を挙げていた。当時はまだスーパースターではなかったが、知名度を上げるのに必死で、マスコミの注目を集める術を心得ていた。
当時10代のアリは、「自慢するわけじゃないけど、僕は今のリングで一番速いヘビー級だって言われてるんだ。それは水中でのパンチングからきているんだ」と語っていた。
2003年の著書『Witness To Our Times』によると、シュルケはスポーツ・イラストレイテッド誌に水中撮影のアイデアを売り込んだが断られ、ライバル誌に乗り込んだという。
「スポーツ・イラストレイテッド誌の編集者に電話すると、プールの中でボクサーの写真を撮るなんて頭がおかしいと思われた」と彼は書いている。そこで、『ライフ』誌に電話したところ、彼らはそのアイデアを気に入ってくれた。当時、ライフ誌は姉妹誌に勝って記事を書くのが好きだったから、プールの写真を撮りに行ったんだ 」
最終的に撮影が終わったとき、シュルケは自分の運を信じることができなかった。「振り向くと、そこにはプールの底に立つ彼がいた 」と彼は綴っている。
「彼は完璧なボクシングのポーズをとっていたんだ。だから、すぐに泳いで行って、彼の写真を6枚ほど撮ったんだ。彼はずっと息を止めていて、微動だにしなかった」
史上最高の存在に騙される
この象徴的な写真が撮られてから3年後、シュルケはアリが水中でトレーニングをしていたという話が本当でないこと、そしてアリというカリスマ的な、世界を変えたボクサーによって誘導されていたことを知った。
「私たちはスクラップブックを見ていて、彼が私の水中写真を見つけて、私にウインクしたんです」と写真家は書いています。「彼にやられたことに気づいた」
「後で知ったことだけれど、この話は彼とトレーナーが勝手に思いついたらしい。彼は泳ぎ方も知らなかったのに......みんなを騙して、素晴らしい写真になった」