フレッジ

オピニオン:フレッジへの人種差別的批判は容認できない

火曜日 23 3月 2021 17:19

日曜のレスター・シティー戦でのこと。フレッジがGKディーン・ヘンダーソンに出したバックパスが、約1年前のリヴァプール戦から続いていた、マンチェスター・ユナイテッドの連続無敗を終わらせるきっかけとなった。

と同時にエミレーツFAカップから敗退することとなったが、現在リーグで3位につけるチーム相手の敗戦であり、この反応は、控えめに言ってもややヒステリックすぎる。中でもケレチ・イヘアナチョの先制点の起点となってしまったフレッジに対しては、名指しで矛先が向けられている。 本当に気が滅入ることだが、ソーシャルメディアでは、こういう時にありがちな人種差別的な攻撃も見られる。それらは絶対にあってはならないものだ。クラブは直ちに行動を開始し、そういったメッセージは断固として受け入れられるものではないという姿勢を明らかにしている。
フレッジが自身のソーシャルメディアに反論のコメントを投稿したのは、非常に勇敢な行動だ。 数週間前、私はクラブの公式マッチデープログラム、『 United Review 』の取材で彼と話をする機会があった。その場の雰囲気は最高だった。ただ単にハードワークに取り組む頑張り屋なだけでなく、真のチームプレーヤーであることが、彼がAonトレーニングコンプレックスでこれほど人気者である理由なんだなと、容易に想像できた。 この取材のために下調べをしていると、彼がいかに、ディフェンス面に貢献しているかが炙り出された。彼が先発出場した直近のプレミアリーグの20試合で、ユナイテッドは13失点しかしていない。ラスト10戦に限ればたったの3点しか失っていないのだ。 いかにフレッジが、身を粉にしてバックラインに加勢しているかは、どの批評家の目にも明らかだ。

これらの数字について尋ねると、フレッジはこう答えた。「とてもうれしいよ。素晴らしい数字だ。ピッチに立ったとき、僕らが目指しているのは点を奪われないことだ。その点で貢献できているというのは、自分でも満足感が得られる。あまり得点はできていないけれど、失点を防ぐことには尽力できている。これからも精一杯がんばってベストをつくすよ。それがチームにとって一番大切なことだからね」

「それに、それ(守備面での貢献)はチーム全体にとって重要なことだ。アタッカーも守備を意識して相手をマークする。そうすることで失点を防げる。チームが一致団結してこれを続けていければ、クリーンシートをキープすることにつながる。僕らの攻撃陣はスピードがあって強力だ。だから、もし僕らが後ろで失点を防げたら、絶対に点を入れられるってわかっているからね」

先週のACミラン戦では、得点に絡んだフレッジ

フットボールにおいてもっとも基本となるデータは、その選手がピッチにいる時間での得点数と失点数の差だ。この点でフレッジは、ブルーノ・フェルナンデスと並んでユナイテッドのトップに立っている。

フレッジが出場している時、その差は+38。ブルーノも同数だ。ハリー・マグワイアが+36で続く。

この事実を伝えたときのフレッジの反応は、彼の無欲さを象徴していた。彼はフェルナンデスの功績を称えたのだ。「ブルーノは素晴らしい選手だ。彼とはピッチの上でも外でも良い関係が築けている。彼はすごい選手だから、こうして結果を出していることを本当にうれしく思うよ。このデータは、僕らが一緒に頑張っている成果を示したものだ。一緒にピッチにいるときは、点もとるし、ディフェンスもしっかりやる」

「僕らがこれを続けていければ、チームにとって確実にプラスになる。それこそが重要なことだからね」

そしてこれこそが、真髄だ。オーレも週末の試合の後に言っていたように、我々は全員で勝ち、全員で敗れるのだ。

ほんの数日前、サン・シーロでのフレッジは、ユナイテッドのヨーロッパリーグ準々決勝進出の立役者だった。現在セリエAの2位につけるACミランをクリーンシートに抑えたその試合で、ポール・ポグバの決勝点をお膳立てしたのも彼だ。選手たちはその夜、充実感とともにマンチェスターに帰還した。

レスターはいつでも難しい相手だ。得点者の一人であるユーリ・ティーレマンスは、ユナイテッドがヨーロッパリーグのためにイタリアを往復している間、じっくり1週間かけて準備できたことが勝因のひとつだと語っていた。そしてこれは言い訳ではなく事実である。そして負けたのはチームであって、フレッジではない。しかも我々は、前半戦が終わる前に、メイソン・グリーンウッドが相手の先制点を打ち消す同点打をあげているのだ。

私が初めてレッズとともに体験した栄光は、1983年のFAカップ優勝だった。その2年後、同じ大会で敗退したときの私の落胆は相当なものだった。もちろん、日曜の敗退もショックだった。ユナイテッドほど幅広いファンベースがあれば、中にはネガティブな思いが、オンライン上での攻撃、という形に向いてしまうこともあるだろう。しかしそれでも、いくつかのリアクションはやりすぎだ。

とりわけフレッジをターゲットにしたものだ。第一に、その中にあった人種差別的なコメントは到底容認されるものではない。ただ個人のパフォーマンスについての批判の中には、たんに侮辱するだけのものや、スケープゴートを探すだけのものではなく、論理的に検証したものもあった。

オピニオンは、著者の個人的な見解であり、マンチェスター・ユナイテッド・フットボール・クラブの意見を反映しているものではありません。


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